Diabetic Retinopathy
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症とは
糖尿病網膜症は、目の網膜全体の血管が、糖尿病による高血糖に長期間さらされることで壊れて、最終的に失明する可能性のある病気です。糖尿病網膜症は網膜の血管が徐々に壊れていくことに伴って3段階を経て進行します。なお、早い段階では見え方に異常がないことが多いですが、糖尿病黄斑浮腫(ふしゅ)と呼ばれる網膜の浮腫(むくみ)を合併すると視覚障害が起こることがあります。
単純網膜症
網膜血管が破れ始め、血管にコブができたり(毛細血管瘤)、出血したりします(点状出血)。また破れた血管から、血液や血液中の成分が漏れ出します。
増殖前網膜症
血管の障害が繰り返されることで血管壁が厚くなり、血管が狭くなったり、詰まったりして(血管閉塞(へいそく))、血液が網膜に十分に流れなくなる(虚血)状態です。
増殖網膜症
虚血になると、網膜では、新しい血管が作られます(新生血管)。新生血管はもろく壊れやすいので、出血を起こすことがあります。また硝子体に膜ができ、その膜が収縮して硝子体と網膜を癒着させ、網膜を引っ張り、網膜剥離を引き起こすこともあります。
糖尿病網膜症になりやすい人
糖尿病網膜症の発症リスクを高めるのは糖尿病歴とHbA1cとの報告があります。糖尿病歴は10年以上、HbA1cは7.0%以上だと、網膜症の発症リスクが高くなります。
診療
主な診療設備
眼底三次元画像解析検査機器
DRI OCT Triton(トプコン社)
網膜断面の状態を詳しく調べます。滲出(しんしゅつ)性加齢黄斑変性症では、網膜の剥離や網膜のむくみ、脈絡膜新生血管などが観察できます。
超広角レーザー検眼鏡
California(オプトス社)
滲出(しんしゅつ)性加齢黄斑変性症では、出血、網膜のむくみなどが観察できます。
FA(蛍光眼底造影撮影)では眼底の血管の異常を検査します。新生血管や新生血管からもれた血液がどこに存在するのかがよくわかります。
治療法
抗VEGF薬治療
糖尿病網膜症に伴う糖尿病黄斑浮腫(ふしゅ)にはVEGFという物質が関与しています。そのためVEGFの働きを抑えるお薬を目に注射します。
ステロイド薬治療
ステロイド薬には炎症を抑える作用があります。そのため、ステロイド薬を目に注射して、黄斑の浮腫(むくみ)を抑えるようにします。
レーザー光凝固
1.直接光凝固
血管にできたコブや血液成分が漏れ出している血管にレーザー光線をあて、焼き固めます。
2.格子状凝固
むくみのあるところに、格子状にレーザー光線をあて、むくみを改善します。
硝子体手術
網膜剥離や硝子体出血が起こっている場合に行われる手術です。目の中の出血を止め、異常な組織を取り除いたり、剥がれた網膜を元に戻したりします。